チェンソーマンの舞台化が発表されました。
タイトルをよく聞く漫画なので、おお、と。
それよりも、2.5次元舞台好きの自分としては、「脚本・演出 松崎史也」が気になりました。
ここ最近で「SPY×FAMILY」や「HUNTER×HUNTER」の舞台化が発表されました。
話題の漫画原作の作品の舞台化も多く、その度に舞台化を否定するコメントを見かけて、舞台好きとしては悲しい限りです。
そこで、年間50公演以上観劇する舞台好きが、原作ファンの方に勘違いして欲しくないこと、知ってもらいたいことを書きます。
なんかまとまらなくなってしまって申し訳ないです。
①松崎史也さん
②そもそも舞台化について
③2.5次元について
④『「チェンソーマン」ザ・ステージ』というタイトルと今回の発表から分かること
①松崎史也さん
ここ2年くらいだと
MANKAI STAGE『A3!』シリーズ(エーステ)
ミュージカル「黒執事」~寄宿学校の秘密~
「BANANA FISH」The Stage(バナステ)
演劇調異譚「xxxHOLiC」
舞台ギヴン
舞台『機動戦士ガンダム00 -破壊による覚醒-Re:(in)novation』(ダブステ)
舞台「薔薇王の葬列」
人狼TLPT 10th Anniversary -ROSERIUM-
2023年夏に「マッシュル-MASHLE-」舞台化も控えています。
この他にも朗読劇や一人芝居など公演数の少ない作品の演出もされ、ほぼ切れ目なく演出業をされている、この界隈の演出家としては有名かつ人気のある方という印象です。
私を含め、舞台が発表された際、演出が史也さんなら安心だろうと思う人は一定数いると思います。
上記作品も演出に関して(言い方悪いですが)燃えたり悪い意味で話題になったりは無いように思います。
元々役者さんとして舞台に立っている方で、今も人狼TLPTでは舞台に立つこともあります。
私はエーステのオタクなのですが、俳優さんの話すエピソードから、知的で、俳優の意向を尊重してくださる方、という印象を抱いています。
珍しいインタビュー(対談)記事
こちらのラジオに出演された時にも頭の良さや優しさが表れているように感じます。
松崎さんが登場する2:04~
②そもそも舞台化について
舞台化は大体1年前くらいに企画されると言われています。
これは、ミュージカル「ヘタリア」シリーズの演出を手がける吉谷さんのこちらのインタビューでも言及されています。
より大規模な作品となると更に前から構想されていることもあり、2022年に上演された舞台版「千と千尋の神隠し」はインタビューによると
以下引用
「ジブリ作品の舞台化構想は二〇一七年秋からスタジオジブリと共有してきた」
とのことです。
舞台「千と千尋−」はミュージカルにしない 名匠ケアード、音楽に頼らず世界観:東京新聞 TOKYO Web
以下引用
約2年前にアニメ化のプロジェクトと同時に企画していたものです。アニメ放送直後のこの時期に公演できるように準備してきました。
ということもあります。
チェーンソーマンもアニメが跳ねたから舞台化した、みたいな時系列はありえないわけで、おそらくアニメ放映の前から企画されていたのでしょう。
そもそも、舞台化の目的の1つは今までとは違うファン層の獲得の側面が大きいのかなと思ってます。
最近舞台化が相次いでいるので、原作ファンの方はアニメの続編とか劇場版とかもっと望むことがあるだろうというのはよく分かります。
私個人は、大好きなアプリのキャラクターが舞台上に立って喋って動いて、というのにすごく感動したので、同じような経験を他の作品のファンの方にも体験してもらいたいと思うことはあります。
舞台が好きな身からすると、舞台化というだけで毛嫌いされるのは悲しいです。
③2.5次元について
ひとくちに2.5次元と言っても作品の幅は広いです。
特徴としては、
・原作があること(まあ当たり前ですが…)
・キャストの性別が偏っている
(今王道の2.5次元というと女性向けの作品が大半のため、ほぼ100%男性キャストという舞台が多いです。が、女性キャストさんが集まった男性ファンの多い2.5次元も存在しますし、漫画原作の作品は女性キャラも多く存在するため、当てはまらないこともあります。)
・ウィッグやメイク、衣装、発声、演技を駆使し、原作キャラクターを三次元で立体化させる
(私は初見で再現度の高さに驚きました。)
2.5次元に限らず、舞台は「ミュージカル」と「ストレートプレイ」に大別されます。
前者は登場人物の感情が高ぶった時などセリフを歌に乗せて物語が進んでいく形式の舞台、そうではないのが後者ストレートプレイです。
といっても、歌唱シーンの含まれるストレートプレイもあり、区分は難しいようです。
2.5次元界では、タイトルに「ミュージカル」と入っているものはミュージカルで、ストレートプレイの場合は「舞台」や「ステージ」が使われていることが多いです。
『刀剣乱舞』や『憂国のモリアーティ』などミュージカル、ストレートプレイ両方ある作品もあります。
ただ「舞台」や「ステージ」がついても歌唱シーンが多くある作品もあり、2.5次元舞台で歌やダンスは切り離せない関係なのかもしれません。
2.5次元舞台に多く出演している俳優さんはボイトレやダンスレッスンに通う方も多いですし、今までの観劇経験で、それなりの規模でお遊戯会のようなクオリティの作品は観たことが無いです。
(もっとも、 LIVEミュージカル演劇『チャージマン研!』のような低予算のチープ感を前面に出している舞台もありますが笑。)
ジャンプ系の作品として、舞台鬼滅の刃もかなり歌唱シーンが印象に残っています。
「SPY×FAMILY」や「キングダム」など、「千と千尋の神隠し」も然りですが、帝国劇場で上演される作品は一般的な2.5次元舞台とは少し毛色が違いまして。
キャストさんも一般に知名度の高いTVで活躍される俳優さんなどが起用されていたり、ミュージカルを主戦場にしているベテラン俳優さん・宝塚のOGの方が出演されていたり、TVの歌番組に出たり、王道な2.5次元とは一線を画すように感じられます。
が、おそらく『「チェンソーマン」ザ・ステージ』はそちらの系統にはいかないと思います。
その理由の筆頭として、最初に演出家が発表された点が挙げられます。
演出家松崎史也さんは2.5次元舞台をある程度知っている人なら名前を聞いたことがある人物です。
今回の発表は原作ファンとともに、「演出 松崎史也」で興味を持つ層にアプローチしたかったように感じます。
そうなると、格式の高いグランドミュージカルというよりは、王道2.5次元舞台として上演されるんだろうなという予想ができます。
(まあ、そもそも帝国劇場はジャニーズの舞台かレミゼ、エリザベート、ミス・サイゴンのあたりの超有名作品の上演がメインで、「SPY×FAMILY」や「キングダム」が異例なだけという感じはする。)
④『「チェンソーマン」ザ・ステージ』というタイトルと今回の発表から分かること
先ほども述べましたが、「ステージ」が付いているので、おそらく基本は(歌ではなく)セリフのやり取りで進んでいくものだと思います。
東京・京都で上演ということで、京都の劇場というとほぼ100%京都劇場だと思われます。
なので、イメージとしては『舞台「鬼滅の刃」』ぐらいの規模感、東京+関西での地方公演というのも合わせて王道な2.5次元というイメージです。
派手なアクションが多そうなので、史也さんならパルクールとか取り入れそう。
おそらくアンサンブルもたくさん入れて、派手なアクションシーンが見られるのでは。
話題作ですし、役者さんも舞台界のトップランナーをキャスティングするんじゃないかな。
『舞台「鬼滅の刃」』もかなり力入れたキャスティングなので。
原作ファンを唸らせるようなビジュアルを示してほしいですね…。
舞台上で観ると、そこまで細かい顔の造形って気にならないもので、それよりも骨格とか動きとかの方に目が行きます。
それを理解されていない方に好きな俳優さんのビジュアルをバカにされるのは勘弁なので…。
これを読んでいる皆さんは動いている姿が肝ということを心に留めていただけると幸いです…。
最後に
話題作の舞台化で騒がれるようになったのもここ数年のお話。
一時期実写映画化が多かった時に、原作ファンが実写化に反対したり、叩いたり、地獄絵図でしたが、似たような状況になりつつあり、勝手に心が痛くなっています。
舞台化に賛成・反対は個人の価値観に寄りますし、観る観ないも勝手です。
ただ、表立ってリプライや引リツで酷い言葉を言わないでほしいです。
多分本当に作品が好きな方はそんなことしてないとは思うのですが、
やっぱり、発表された時リプライなどでやれ金儲けだのやれ舞台化やめろだの見ると悲しい気持ちになりますね。
今回の発表は『「チェンソーマン」ザ・ステージ』公式のツイにはそれほどでは無かったですが、各種ニュースサイトのツイには結構酷い言葉があって、リプ欄を見たのを後悔しました。
原作のファンがいるように、舞台の演出家さんや俳優さんにもファンはいます。
本名を名乗って言えないような言葉は慎んでもらえると、こちらとしても心穏やかに過ごせます。
もし、少しでも興味を持ってもらえたなら、一度観てみてもらいたいです。
これは、舞台業界にお金を落とせと言っているのではなく(少しは下心ありますが)、自分が2.5次元舞台を見た時に本当に驚いたから。
推しや絵で観ていたキャラクターが目の前で動くというのは、私は本当に想像を超える体験で、自分もその作品の空間に共存し没入できるというのは映像の実写化とはまた違った感動でした。
長くても3時間弱という時間に収める都合上、ストーリーがカットされたりすることはあると思います。
漫画ないしアニメの完全再現が正義ではなく、舞台芸術、舞台作品としての正解はどのような形なのかと思って観ると気が楽かもしれません。
最近は配信という選択肢もあります。
観劇が趣味な人間として、少しでも舞台というものに興味を持ってもらえると嬉しいです。